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2017年下半期 個人的ベストアルバム50
category: - | author: hashimotosan
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    今年の6月末に上半期ベストをやって以来、更新できていなかったこのブログですが、下半期もいよいよ大詰めなので今回もベストアルバム企画やりたいと思います。

    上半期のベストをチェックしてもらった方や、普段twitterで自分の好みを垂れ流してる様子を見てる方は分かるかと思うんですが、非常に雑食な音楽趣味をしておりまして(笑)、今回もかなり多種多様なサウンドが入り混じったラインナップになってます。

    自分の好みでないものも、気になるものがあったらぜひチェックしてもらえたらなと思います。

    今回もランキング形式にして書いてみたいと思います。

    それでは長くなりますが最後までお付き合いくださいね!

     

     

    50. Ducktails 「Jersey Devil」

     

     

    ニュージャージー州出身で元Real EstateのメンバーでもあるMatt Mondanileによるソロプロジェクト、Ducktailsの通算6作目となる新作。

    あらゆる角度からゆるさと心地良さを追求するとこういう音になるんだろうなって感じの極甘・脱力レトロポップサウンド。

    80sAORやフュージョン、シティポップに影響を受けた、良い意味でだらしない、グダグダな空気感が妙にクセになっちゃう感じ。

    80年代の日本のミュージックシーン、特に山下達郎に大きな影響を受けているみたいで、そのあたりのエッセンスも随所に感じられるような質感でしたね。

    リリースの直後にMattの過去の女性問題が明るみとなり活動は休止状態、この作品も流通がストップするなどのすったもんだがあったこともあって、正直入れるかどうか迷ったんですが、作品自体はとても素晴らしいものなのでこの順位にしてみました。

    ホント色々と残念…。

     

    Best Track:「Map to the Stars」「Solitary Star」「Mannequin」

     

    49. Majid Jordan 「The Space Between」

     

     

    Drakeやdvsnを擁するOVO Sound所属のデュオ、Majid Jordanの通算2作目となる新作。

    クールでスタイリッシュなストリート感溢れるグルーヴに、セクシーなムードを決め込んだモダンR&B。

    Drake周辺のアーティストらしく90sなR&Bのフレイヴァーを醸し出しつつ、現行のエレクトロと上手いことブレンドさせてるのが洗練されてますよね。

    メロウな流れの中で弾けるキックドラムのリズムがたまらなくカッコいい!

    ルイ・ヴィトンのショーでも彼らの曲が使われてたけど、ファッションと音楽は密接に関係してるということを改めて感じさせてくれるアルバムでしたね。

     

    Best Track:「Gave Your Love Away」「One I Want feat. PARTYNEXTDOOR」「My Imagination feat. dvsn」

     

     

    48. Kedr Livanskiy 「Ariadna」

     

     

    モスクワ出身の女性アーティスト、Kedr Livanskiyの去年のEPに続くアルバムとしてはデビュー作となる作品。

    Aphex TwinやBoards of Canadaなどに影響を受けたソリッドなエレクトロと、ドリーミーな空気感のテクノが溶け合った不思議な感触のサウンド。

    終始空中をフワフワと浮遊しているような感覚というか、モヤモヤしてるのに音の輪郭自体ははっきりと確認できる感じが面白かったですね。

    そこにのっかる耳馴染みのないロシア語の響きが、サウンドをより一層ミステリアスなものにしていて。

    真夜中に聴き出して変に高揚してきて眠れなくなるという不思議な遊びを繰り返してました(笑)

     

    Best Track:「Ariadna」「ACDC」「Love & Cigarettes」

     

    47. Knox Fortune 「Paradise」

     

     

    Chance the Rapperとの共演でも知られるシカゴ出身の24歳、Knox Fortuneのデビュー作。

    ここ数年はヒップホップやR&Bをベースにしたアーティストも、ロックやポップの要素を取り入れることがごく自然になってきてるけど、彼のサウンドはまさにそんな感じ。

    実際参加アーティストもDonnie TrumpetことNico SegalやJoey PurpといったSave Moneyのメンツに加え、WhitneyやTwin Peaksのメンバーといった異色な顔ぶれも。

    ローファイなインディーロックな感触をヒップホップなビートにのせた独特なカラーのサウンド。

    個人的にやや肩透かしだったBeckの新作に期待していたサウンドがこんな感じでしたね。

     

    Best Track:「Lil Thing」「Help Myself」「Torture」

     

    46. St. Vincent 「MASSEDUCATION」

     

     

    孤高の女性ロックアーティスト、St. Vincentの通算5作目となる新作。

    今年の音楽メディアを始め批評家たちの間でも軒並み高評価の今年を代表する作品。

    なんですが、個人的には思ったほどハマらなかった!というのが正直な感想です。

    彼女の作品はほぼ全部好きですし、特に前作の「St. Vincent」なんてここ数年で最高のアルバムの一つだと思ってるんですが、だからこそ期待しすぎちゃいましたね。

    彼女にしか鳴らせないサウンドだと思うし、Princeへのオマージュのようなデジタルファンクは文句なくカッコいいんですが、彼女にはもっと硬派なものを求めてるというか、簡単に言えばポップすぎました。

    それはプロデューサーにJack Antonoffを起用したことによるものなんでしょうが、なんかTaylor Swiftが路線を間違えなかったらこんな音になってたかもみたいな印象でしたね。

     

    Best Track:「Pills」「Masseducation」「Los Ageless」

     

    45. Garren Sean 「GARREN, LP」

     

     

    ベイエリアベースのアーティスト、Garren Seanのデビュー作。

    アメリカの西海岸は昔からファンクミュージックが根付いていて、ヒップホップが主流になってからもウェッサイと呼ばれるサウンドやG-ファンクが生まれたり、独自のカラーを持った地域だけど、その最新形態がこのアルバム。

    70sソウルや80sファンクを再解釈して、そこに現行のR&Bシーンのサウンドを絶妙な配合でブレンドさせたネオファンクな質感。

    ぶっとめなベースラインやファンキーなカッティングギターの音色と、メロウでレイドバックなシンセのメロがまさしく西海岸の音を継承してるって感じ。

    Chance the Rapperの曲を手掛けたりもしてて、今後プロデューサーとしての活躍も期待できそうな存在ですね。

     

    Best Track:「Lift Off」「Desires」「Orange Juice/Memory」

     

    44. John Maus 「Screen Memories」

     

     

    Ariel Pinkの相方的存在、John Mausの通算4作目となる新作。

    ミッド80sのカオスで浮き世離れした空気感のシンセポップ〜ポストパンクサウンド。

    KraftwerkとJoy Divisionを混ぜたような不思議な音っていうか、怪しさもアクもクセも強烈なんだけど、妙に後引く感じでクセになっちゃう!

    サウンドもアートワークもビデオも、色んな意味でホント悪趣味なんだけど、こういうのって一度受け入れてしまうとどんどん底なしのようにハマっていくというか。

    安っぽいハロウィン映画のサントラみたいなテイストが最高でした。

     

    Best Track:「The Combine」「Touchdown」「Sensitive Recollections」

     

    43. Reptaliens「FM-2030」

     

     

    ポートランドベースのバンド、Reptaliensのデビュー作。

    派手な色使いではなく、パステルカラーで描かれたレトロな質感のローファイポップ。

    ほのぼのとゆったり流れるブレイクタイムなサウンドがとても心地良くって、長雨続きで憂鬱だった今年の秋の気分を軽やかなものにしてくれましたね。

    中心メンバーの2人はプライベートでもパートナーらしい。

    ゆるーくローファイなソフトロックな部分と、遊び心のあるサイケな部分を持ち合わせたサウンドになってるのは、2人の音楽的な好みの違いからなのかもしれないけど、そこはさすが夫婦って感じのバランス感覚でした。

     

    Best Track:「If You Want」「666Bus」「These Days」

     

    42. Courtney Barnett & Kurt Vile 「Lotta Sea Lice」

     

     

    当代きっての牧歌的SSWの2人のコラボ作。

    この2人がコラボアルバムをリリースすると知った時、もう確実に良いものができるだろうなと確信に近い予感がしたものでしたが、見事的中でしたね。

    ボーカルスタイルに違いはあるものの、2人の音楽性は共通点も多いし、セッション的にレコーディングしたであろうサウンドのラフな感じもイイ感じ。

    この作品に関しては自分よりフォロワーのサムさんのブログがとても読んでて楽しいのでぜひそちらもチェックしてみてください。

    Courtneyは来年新作をリリース予定らしいのでこちらも楽しみですね。

     

    Best Track: 「Over Everything」「Fear Is Like a Forest」「Outta the Woodwork」

     

    41. Japanese Breakfast 「Soft Sounds From Another Planet」

     

     

    オレゴン州出身のMichelle Zaunerによるソプロジェト、Japanese Breakfastの去年の大傑作デビュー盤から早くも届いた2nd。

    去年の年間ベストにもデビュー作を入れたけど、今作は大胆なエレクトロアプローチがサウンドに取り入れられてて、SFがコンセプトだったり色々な変化が感じられましたね。

    ただ彼女らしいキラキラでややアンニュイなオルタナロックは健在で一安心。

    前作のベッドルームサウンドに比べ、音が確実にハイファイになってるのも印象的。

    歌詞の内容やサウンドに変化は見られても、共通してるのはポジティブな音だという事。

    相変わらず素晴らしいセンスの持ち主でした。

     

    Best Track:「Road Head」「Machinist」「Boyish」

     

    40. Turnover 「Good Nature」

     

     

    ヴァージニア・ビーチベースのバンド、Turnoverの通算3作目となる新作。

    春のHoops〜初夏のBeach Fossilsからの流れを完璧な形で引き継いだような、優しく柔らかで涼しげなネオアコ〜ギターポップの心地良さったらもう・・・。

    これまでより明確にポップでクロスオーバーなサウンドになってて少し驚いたけど、個人的にはこの路線大歓迎!

    時々前のエモっぽいシューゲイズなざらついた音が顔を出す感じも好きですね。

    音の軽やかさとかスカスカ感とか力の抜け具合とか、ホント絶妙!

    今年の夏の終わりのBGMはこのアルバムでしたね。

     

    Best Track:「Super Natural」「Sunshine Type」「Nightlight Girl」

     

    39. Inner Wave 「Underwater Pipe Dreams」

     

     

    LAベースのバンド、Inner Waveの通算3作目となる新作。

    自分は今回のアルバムで彼らの事を知ったんだけど、完全に一聴き惚れな感じでした。

    適当に感覚的に味付けされた中毒性高めのノスタルジックでローファイな音触が妙に後引く感じ。

    ゆるめのシンセロックに程よくヒップホップのグルーヴをブレンドしてるあたりがセンス抜群!

    多ジャンルのサウンドが曲によって違った組み合わせで、違ったボリュームで現れる感じが面白いですね。

    こういう感覚がとても今っぽい音だなと思いましたね。

     

    Best Track:「Eclipse」「Forest」「Song 3」

     

    38. Susanne Sundfør 「Music for People in Trouble」

     

     

    ノルウェーベースの女性SSW、Susanne Sundførの通算5作目となる新作。

    聴くもの全てを癒やすフォーク〜ジャズの穏やかな音色と、壮大な世界までワイドに表現しきるボーカルの圧倒的なサウンドスケール!

    聴いてる間ずっと鳥肌が立ってたのはごく自然な体の反応だと思いますね。

    以前同郷のRöyksoppやM83ともコラボしてましたが、彼女のサウンドにも若干ドローンっぽいエレクトロな要素が感じられるところも面白かったですね。

    心安らぐ美しい自然のような部分と、実験的で色彩がビビットな部分が同居した感じが北欧っぽいなと思いました。

     

    Best Track:「Reincarnation」「Undercover」「Mountaineers」

     

    37. Charlotte Gainsbourg 「Rest」

     

     

    イギリス生まれでフランスを拠点に女優としても活躍しているCharlotte Gainsbourgの約7年振りの新作。

    ドリーミーなフレンチポップからダークディスコまでサウンドの幅は広いけど、終始支配してるのはフレンチ混じりのウィスパーボーカルが作り出す独特のアンニュイな空気。

    Paul McCartneyやDaft PunkのGuy-Manuel、Owen Palletに加え、ビデオにはDev Hynesといった豪華で異色なメンツが参加してるけど、ちゃんと自分のカラーを出しつつ上手くコラボレートしてるところがさすが!

    派手な色を使わずに美しく仕立て上げる色彩感覚が本当にお見事!

     

    Best Track:「Deadly Valentine」「Rest」「Sylvia Says」

     

    36. Madeline Kenney 「Night Night At The First Landing」

     

     

    オークランドベースの女性SSW、Madeline Kenneyのデビュー作。

    Toro y Moiが全面的にプロデュースに携わっているという、ある意味クオリティは保証されたような後ろ盾があるんだけど、彼女自身のソングライティングの力も素晴らしいものを感じましたね。

    シューゲイズの匂いが仄かに残ったギターロックのなんとも儚く切ない響き。

    彼女の心情とリンクするようなエモーショナルな展開も聴き応え十分!

    去年のMitskiやAngel Olsenのアルバムでも感じたけど、女性がギターをかき鳴らして奏でるロックサウンドって本当に美しいと思います。

     

    Best Track:「Rita」「Always」「Big One」

     

    35. Ibeyi 「Ash」

     

     

    フランス生まれでキューバ育ちの双子姉妹デュオ、Ibeyiの2nd。

    他の誰とも違う独特の響きはそのままに、よりワイドな表現力を身につけて深化したなという印象。

    神秘的で生々しい2人の声と溶け合うトライバルなエレクトロソウルサウンド。

    ミニマルなビートにジャズや民族音楽のテイストが絶妙な塩梅で加わる感じが見事!

    フェミニズムや民族観だったり、自分たちのルーツやカラーがテーマの曲が多かったり、単純に曲のクオリティが明らかに上がってるのは、やっぱりBeyoncéの「Lemonade」に参加したのが大きかったんじゃないかなと思いますね。

    Adeleがこのアルバムを褒めちぎってたのも印象的でした。

     

    Best Track:「Deathless feat. Kamasi Washington」「I Wanna Be Like You」「When Will I Learn feat. Chilly Gonzales」

     

    34. Sam O.B. 「Positive Noise」

     

     

    NY、ブルックリンベースのアーティスト、Sam O.B.のデビュー作。

    デビュー作とは言っても、この人Obey Cityとしての活動も行っていて、これまでも素晴らしいセンスのアーバンサウンドを作り続けてきた人なのである程度のクオリティは保証済みだったわけですが、それにしても期待以上でしたね。

    Blood Orangeのスムースな色気とFKJのブリージンなグルーヴを併せ持ったような超絶気持ちいいモダンソウル!

    どこを切り取っても隙のない洗練され尽くしたサウンドメイク!

    ここ数年のR&B〜エレクトロ〜シティポップな流れの良いとこ取りみたいなアルバムですね。

    この夏のクーラー代わりに大変重宝致しました。

     

    Best Track:「Common Ground」「Balance」「Revolve」

     

    33. Joseph Shabason 「Aytche」

     

     

    カナダ出身のサックスプレイヤー、Joseph Shabasonのデビュー作。

    彼はThe War On DrugsやDestroyerの作品に参加していたり、DIANA(去年のアルバムは超傑作!)のメンバーとしても活動してるんですが、ソロのアーティストとして今回素晴らしい作品を届けてくれました。

    浮遊感のあるジャズ〜アンビエントがただただ心地良くって、夜の睡眠の導入に大活躍でした。

    サックスの優雅な響きが美しいのはもちろん、時折サイケで実験的なエクスペリメンタルなサウンドが加わることで、作品に良い緊張感が生まれているような印象でしたね。

    今年個人的に一番よく聴いたインスト作品となりました。

     

    Best Track:「Aytche」「Tite Cycle」「Long Swim」

     

    32. Ariel Pink 「Dedicated To Bobby Jameson」

     

     

    LA出身の男性SSW、Ariel Pinkの通算11作目(ソロ名義としては2作目)となる新作。

    流行りの音を取り入れようとか、新しく何かにチャレンジしようという気が微塵も感じられないいつもの独自路線。

    夢と現実の狭間を漂い続けるドリーミーでローファイなサイケデリックポップ。

    今作も彼にしか作れない、気持ち良いのか気持ち悪いのか分からない絶妙なラインの世界観。

    自分の中で「変態」っていうのは音楽的な意味で言うと誉め言葉なんだけど、この人はまさに「変態」。

    不特定多数の人に気に入られようなんて気持ちはハナから一切ない、好きな人にだけ伝わればいいやという姿勢が音にも表れていて、そこが妙にグッとくるというか。

    一回好きになったしまったらもう手遅れって感じですね。

     

    Best Track:「Feels Like Heaven」「Another Weekend」「I Wanna Be Young」

     

    31. The War On Drugs 「A Deeper Understanding」

     

     

    フィラデルフィア出身のロックバンド、The War On Drugsの通算4作目となる新作。

    彼らの作り出す音の世界っていうのはもう自分の中では心象風景に近いというか、最初に聴いた時からなぜか懐かしい気持ちになったのを覚えてます。

    今作を最初に聴いた時に感じたのは、夏が終わりに向かっていき徐々に秋の空気に変わってく時の、まだ暑いのに吹いた風が少し秋の匂いがした時の、寂しいけど清々しくて心地良いあの感覚。

    80年代のアメリカーナ・アリーナロックをモダンなアプローチで昇華させたような、疾走感と夢中感の絶妙なバランスが見事でしたね。

    ただ後半がちょっとダレてくる気が…。

    前半が最高なだけにそこがちょっともったいない気がしました。

     

    Best Track:「Up All Night」「Pain」「Holding On」

     

    30. Lana Del Rey 「Lust for Life」

     

     

    NY出身の女性SSW、Lana Del Reyの通算5作目となる新作。

    圧倒的な何かがあるわけではないんだけど、なぜか心を掴まれてしまう特別な響きを持つ彼女のサウンド。

    デビュー時からゴシックでハリウッドライクな路線のポップスを一貫して追求してきたようなところがあるので、正直これまでと大きな変化はありません。

    どこか冷めたようなボヤーっとした色で描かれた世界観。

    こう書いていくと全然好きそうじゃないみたいになっちゃうんだけど、それでも気が付くと聴いてしまうのがLana Del Reyの不思議な魅力。

    彼女が世界的に人気がある理由も実はそういう人が多いからな気がする。

     

    Best Track:「Love」「Lust for Life」「Groupie Love」

     

    29. Miguel 「War & Leisure」

     

     

    LA出身のR&Bシンガー、Miguelの通算4作目となる新作。

    ロックやファンクを下敷きにしたR&Bサウンドにセックスアピール全開なリリックとボーカルをのせるスタイルという、まさしくPrinceフォロワーって感じのエロいR&B専門家みたいな立ち位置を盤石なものにしたような印象。

    相変わらず粘着質でイヤらしいボーカルに、メキシコをルーツに持つ彼らしいラテンのフレイバーも加わったトロピカルでレイドバックなR&B/ファンクが絶妙なマッチング!

    これまで以上にリズムの取り方がファンキーになったというか、ボーカルもワイルドになったかなと。

    ロックファンにもアピールできるR&Bとしてかなり秀逸!

     

    Best Track:「Sky Walker feat. Travis Scott」「Caramelo Duro feat. Kali Uchis」「Come Through and Chill feat. J. Cole & Salaam Remi」

     

    28. Jessie Ware 「Glasshouse」

     

     

    イギリスはサウスロンドン出身の女性SSW、Jessie Wareの通算3作目となる新作。

    派手さや即効性を抑えて聴き込むほどに中毒性を増していくような感覚というか、徐々に良さが分かっていったようなアルバム。

    上手さとあざとさの、艶っぽさといやらしさの間の絶妙に丁度良い大人のためのソフィスティケイテッドソウル。

    ポップとR&Bの臨界点を母親になった彼女なりに追求した、現時点での彼女の到達点なのかなという印象

    彼女の1st「Devotion」は自分にとってライフタイムベストアルバムの内の一つなんだけど、その頃に比べると歌の表現力がかなりワイドになったなぁと。

    昔のクールでドライだったR&Bサウンドが好みど真ん中だったので、その頃の路線のサウンドがもう少しあると個人的には嬉しかったかな。

     

    Best Track:「Midnight」「Your Domino」「Selfish Love」

     

    27. The National 「Sleep Well Beast」

     

     

    もはや貫禄すら感じるオハイオ州出身のロックバンド、The Nationalの通算7作目となる新作。

    エモーショナルなギターと躍動感のあるリズム隊に円熟味と渋さを増したボーカル。

    それらが響かせる音は静と動のコントラストのバランスが完璧!

    恐らく相当な時間を使ってレコーディングされたであろう、細部までこだわり抜かれた音の配置や重ね方。

    立体的というか空間的というか、音の奥行きのレベルが本当に凄い!

    重厚感があるのにさらりと聴かせるサウンドメイクの巧さはさすがとしか言いようがないよね。

     

    Best Track:「Day I Die」「The System Only Dreams In Total Darkness」「Guilty Party」

     

    26. Jay-Z 「4:44」

     

     

    ヒップホップ界のドン、Jay-Zの通算13作目となる新作。

    Beyoncéの去年の傑作「Lemonade」の中で浮気をしていたことが発覚した彼が、それを受けてかなり正直に明け透けに語ったような内容になってます。

    個人的にこの作品を評価したい理由は、プロデューサーをNo I.D.ただ一人に絞っているというところ。

    70sのソウルを中心に渋いネタ使いのオールドスクールなヒップホップを敢えてこの時代にぶつけてきた感じが実に痛快!

    数多くのゲストやプロデューサーを招かなくても、これだけ完成度の高いコンセプチュアルな作品が作れるんだと、レジェンドが自ら示してくれてるようでなんだか嬉しかったです。

     

    Best Track:「The Story of O.J.」「Smile feat. Gloria Carter」「4:44」

     

    25. Jordan Rakei 「Wallflower」

     

     

    ニュージーランド出身でロンドンベースのアーティスト、Jordan Rakeiの2ndアルバム。

    ボーカルはもちろん、ギターやキーボードまでマルチにこなし、プロデューサーとしての面も持つ多才を絵に描いたような彼。

    作品としてのボリュームも、熱過ぎずクール過ぎないボーカルも、グルーヴ感とチルアウト具合のバランスも、ありとあらゆる面で丁度良い。

    ジャジーでスムースなアーバンソウルサウンドが気持ち良いったらありゃしない!

    盟友、Tom Mischも来年いよいよ新作を出すみたいで、並べて聴くのが今から楽しみ!

    マジで永遠に聴いてられるヤツ!

     

    Best Track:「Eye to Eye」「Nerve」「Clues Blues」

     

    24. Nicholas Krgovich 「In an Open Field」

     

     

    カナダはバンクーバーベースのアーティスト、Nicholas Krgovichの5年振り2作目となる新作。

    この人は4年前に1stをリリースした頃から、なんであまり評価されないんだろう?と思い続けてるアーティストの一人。

    日常にスッと溶け込む洗練された大人のポップスを作らせたら、彼の右に出る者はいないと言ってもいいくらいだと思う。

    街の浮かれた空気に負けないくらいキラキラしたポップスでありながら、ジャズやソウルが隠し味として忍ばせてあるから全然くどくなくて何回でも聴けちゃう。

    とりあえず何聴くか迷ったらこのアルバム。

    そんな作品が一番素晴らしいのかも。

     

    Best Track: 「Parade」「Blue Wave」「A Day in October」

     

    23. Dent May 「Across the Multiverse」

     

     

    ミシシッピ州出身の男性SSW、Dent Mayの通算4作目となる新作。

    Animal CollectiveのレーベルからToro y Moiのレーベルに移籍して一発目の今作。

    60sロックや70sAORにインスパイアされたジャストライクハニーな質感の極甘ポップス。

    一音一音のキラめきがハンパじゃない!

    これ嫌いな人なんているの?と思えるくらい普遍的でマジカルな音。

    このアルバムを聴くとThe Beach Boysが聴きたくなるのは自分だけじゃないと思う。

     

    Best Track: 「Across the Multiverse feat. Frankie Cosmos」「Face Down in the Gutter of Your Love」「A Little Bit Goes A Long Way」

     

    22. Mount Kimbie 「Love What Survives」

     

     

    ロンドンベースのエレクトロデュオ、Mount Kimbieの通算3作目となる新作。

    ポスト・ダブステップからベースミュージック、さらにはポスト・パンクまで一緒くたにして、終始スリリングな空気を響かせた「Mount Kimbie」としか表現できないジャンルのサウンド。

    James BlakeやKing KruleといったUKの若手とのコラボで生まれる化学反応は格別の素晴らしさ!

    最初に聴いた時はそれほどハマらなかったんだけど、実は今年の来日公演を観てまして、その時の体がビリビリと痺れるような感覚が忘れられず、気がついたら何度も繰り返して聴くほど虜になっちゃいました。

     

    Best Track: 「Blue Train Lines feat. King Krule」「Marilyn feat. Mikachu」「We Go Home Together feat. James Blake」

     

     

    21. Rapsody 「Laila's Wisdom」

     

     

    ノースカロライナベースの女性ラッパー、Rapsodyの2ndアルバム。

    Kendrick LanarやAnderson .Paak、Busta Rhymesといった猛者達に食われることなく、存在感のあるパワフルなラップを聴かす圧巻のラップスキルがまず凄い!

    そして9th Wonderによるソウルフルでドープなサウンドもかなりハイレベル!

    ブラックミュージック界の重要人物達がこぞってこのアルバムを絶賛してるのも納得!

    少なくともここ数年の女性ラッパーの作品ではベストだと思う。

     

    Best Track: 「Power feat. Kendrick Lamar & Lance Skiiwalker」「Nobody feat. Anderson .Paak, Black Thought & Moonchild」「Knock On My Door feat. BJ the Chicago Kid」

     

    20. Anna of the North 「Lovers」

     

     

    ノルウェーベースのアーティスト、Anna of the Northのデビュー作。

    マイナスイオンをたっぷり含んだクリアで爽やかなシンセポップ。

    北欧ポップスの良い所を凝縮したような、キャッチーでカラフルなサウンドは何度聴いても飽きのこない仕上がり。

    The CardigansやRobyn、Annieなど、ノルウェーは昔から良質なポップスを数々生み出してきた地域だけど、彼女もそのセンスを受け継いだ素晴らしい才能の持ち主。

    それはTyler, the Creatorが目をかけてることからも分かるよね。

    今年屈指のポップアルバム!

     

    Best Track:「Someone」「Always」「Fire」

     

    19. Mura Masa 「Mura Masa」

     

     

    UK出身のDJでプロデューサー、Mura Masaの待望のデビュー作。

    ゲストのセレクトも含め、多様性が重要な今という時代を切り取ったトラックメイクのあまりの鋭さにクラクラ!

    トロピカルな音使いを活かしたミニマルな作りのクラブサウンドは、現行シーンを的確に捉えつつその何歩も先を進んでる。

    今年の自分の音楽的な嗜好はわりかしノスタルジックでゆるーいサウンドのものが多かったんだけど、彼のキレキレなエレクトロポップは完全に別腹って感じ。

    実は一番2017年っぽい音はこのアルバムかもね。

     

    Best Track: 「Nuggets feat. Bonzai」「1 Night feat. Charli XCX」「What If I Go?」

     

    18. Julien Baker 「Turn Out the Lights」

     

     

    テネシー州出身の女性SSW、Julien Bakerの2ndアルバム。

    痛々しいほど真っ直ぐで無防備、悲しいくらい剥き出しの声や歌詞、ピアノやギター中心の極シンプルなフォーク・ロック。

    自分が同性愛者であることや家庭の問題で心の内に溜まっていった孤独感を、歌うことで吐き出していた彼女。

    圧倒的な美しさと何かを伝えようとする力がダイレクトに突き刺さってくる感じ。

    ゲストやプロデューサー、音楽性などなど色んな要素を盛り込んだアルバムが多い中、ここまでストレートでシンプルな作品はかえって新鮮かも。

    どこまでも伸びていきそうな、ただ美しいだけじゃない何かが宿った歌声はまさに圧巻!

     

    Best Track: 「Appointments」「Turn Out the Lights」「Shadowboxing」

     

    17. Washed Out 「Mister Mellow」

     

     

    ジョージア州出身のアーティスト、Washed Outの通算3作目となる新作。

    メロウでムードでグルーヴィーでローファイでドリーミーでチル。

    自分が飛びつきそうなキーワードを全てミックスして出来たような感じ。

    無意識レベルで体が揺れ出すグルーヴポップ〜チルウェイヴサウンドが心地良すぎ!

    フリージャズ、ハウス、ヒップホップ、サイケを合わせたようなサウンドを目指したらしいんだけど、聴けば聴くほど彼がStones Throwに移籍した意味が分かるような内容なんだよね。

    タイトルからもうズルい。

     

    Best Track: 「Floating By」「Hard to Say Goodbye」「Get Lost」

     

    16. Calvin Harris 「Funk Wav Bounces Vol.1」

     

     

    スコットランド出身のDJ・プロデューサー、Calvin Harrisの通算5作目となる新作。

    正直これまでの彼の作品はそこまで琴線に触れるものではなかったんだけど、今回の80sブギー・ディスコリバイバルな路線は好みドンピシャって感じ。

    始めから終わりまで全ての瞬間で全力で踊らせにかかってくる、ごっさファンキーでグルーヴィーな極楽サウンド聴いてテンション上がらないわけないでしょ!

    一体いくらのお金が動いたのかってくらい豪華なゲストのオンパレードだけど、無駄使いになってないのはさすが!

    今年の夏はこのアルバムを聴かずして乗り切るのは不可能だったなと言い切れるくらいお世話になったかなぁ。

     

    Best Track: 「Slide feat. Frank Ocean & Migos」「Heartstroke feat. Young Thug, Pharrell Williams & Ariana Grande」「Rollin feat. Future & Khalid」

     

    15. Laurel Halo 「Dust」

     

     

    アメリカ・ミシガン州出身で現在ドイツ・ベルリンベースのアーティスト、Laurel Haloの通算3作目となる新作。

    エレクトロ〜ダブ〜ジャズ〜ポップな摩訶不思議サウンドに、民族音楽由来のパーカッションのリズムが加わって恐ろしく中毒性の高い仕上がりに。

    今まで自分が聴いてきたどのジャンルの音楽にも属してない感じ。

    この人恐らくかなりの音楽マニアで、めちゃくちゃ色んなジャンルの音楽を聴いて自分のものにしてるんだと思う。

    敢えて言うならSun Raに近いかな。

    日本語がフィーチャーされてる曲も流れの中で違和感なく鳴らす感覚の鋭さはさすがHyperdub所属って感じ。

     

    Best Track: 「Sun to Solar」「Moontalk」「Do U Ever Happen」

     

    14. Yellow Days 「Is Everything Okay in Your World?」

     

     

    今年トップクラスで衝撃を受けたライジングなアーティスト、Yellow Daysの去年のEPに続く待望のデビューアルバム。

    ブルースからジャズからヒップホップから、自分の好きな音をデタラメにミックスしたようなサイケデリック・ローファイポップ。

    様々な音楽メディアで次に来るヤバいヤツとして名前が挙がるのも納得の才能とセンス。

    サイケでローファイなサウンドと、18歳とは思えないブルージーでエモーショナルな歌声のアンバランスさが不思議とクセになる!

    よく比較されるKing Kruleとはまた違うヤバさって感じ!

     

    Best Track: 「That Easy」「The Tree I Climb feat. Nick Walters」「Lately I feat. Rejjie Snow」

     

    13. dvsn 「Morning After」

     

     

    DrakeなどのプロデューサーとしてもおなじみのNineteen85によるプロジェクト、dvsnの去年のデビュー作に続く新作。

    R&B好きのR&B好きによるR&B好きのためのアルバムって感じ。

    90sな空気感のドープでエロティックなムードで統一されたひたすら美しい世界観。

    前作の神々しいまでの神秘的なオーラはやや薄れ、ヴィジュアライズされて肉感的になった印象。

    聴いてると崇高な気分になってくるというか、まるで絶景を観ているような感覚! 

    今作もイヤホンで聴くのをおすすめします。

     

    Best Track: 「Keep Calm」「Mood」「Can't Wait」

     

    12. Blue Hawaii 「Tenderness」

     

     

    カナダ・モントリオールベースの男女デュオ、Blue Hawaiiの2ndアルバム。

    元々はプライベートでもカップルだった2人の奇妙で微妙な関係や感情を表したような、様々なテイストの楽曲がもれなくハイクオリティで全く飽きの来ない仕上がり。

    90sディープハウスやディスコ由来のダンサブルなアッパーチューンもあれば、R&B〜チルウェイヴな質感のメロウなスロージャムもあったり。

    ジャケットやタイトルが意味してるのは、

    遠く離れていても近くにいるような温かさを感じ、バーチャルでもリアルでもお互いの優しさを求め合うことなんだそう。

    オンラインで簡単に繋がれる今の時代だからこそ生まれてしまう寂しさみたいなものがサウンドにも表れてて面白かったですね。

     

    Best Track: 「No One Like You」「Versus Game」「Make Love Stay」

     

    11. Kllo. 「Backwater」

     

     

    オーストラリア・メルボルンベースの男女デュオ、Klloの待望のデビューアルバム。

    これまでの2作のEPの完成度の高さも凄かったけど、それに輪をかけて全ての面でレベルアップした圧巻のクオリティ!

    現行のクラブミュージックの空気を的確に捉えたクール&ダウナーなエレクトロポップ。

    2ステップ〜R&Bを通過したDisclosure以降の音に、オリジナルのカラーを加えて昇華させたサウンドメイクの着地の仕方がとにかく見事! 

    同じベクトルのサウンドと言えるJacques Greenの新作も素晴らしかったけど、より歌声がフィーチャーされた彼らのサウンドの方が好みだったかな。

     

    Best Track: 「Downfall」「Virtue」「Last Yearn」

     

    10. Phoebe Bridgers 「Stranger in the Alps」

     

     

    LAベースの女性SSW、Phoebe Bridgersのデビュー作。

    信頼と実績のレーベル、Dead Oceansからのリリースということで期待しかなかったわけだけど、案の定素晴らしい出来映え。

    クールでドライなボーカルが映えるようによく練られたソングライティングと、アコースティックなサウンドのマッチングがとにかく見事!

    秋の訪れを告げるような、ハートウォームでちょっぴり寂しげなフォークが心に沁み入ります。

    今年は女性SSWがかなり豊作の年だったけど、彼女はその中でもトップクラスで才能を感じましたね。

    デビュー作にして既にエヴァーグリーンなオーラを放ってる、今年の最優秀新人賞候補の一人。

     

    Best Track: 「Motion Sickness」「Funeral」「Scott Street」

     

    9. Alvvays 「Antisocialites」

     

     

    カナダ・トロントベースのバンド、Alvvaysの待望の2ndアルバム。

    夏のギラついた日差しではなく秋の心地良い陽の光のような、程よい暖かさとキラキラ感が詰まった最高の一枚。

    ノスタルジックでドリーミーでセンチメンタルで。

    聴き終わった後に残る余韻は、一本の映画を観終わった時の感覚に近いかも。

    このまま終わらなければいいのにとさえ思ったよ。

    音楽でテンションを上げたり、気分を落ち着かせたり、楽しみ方は人それぞれ色々あるけど、日常に溶け込んでその一日を少しだけ彩ってくれる作品が実は一番大切なのかもなぁとこのアルバムを聴いて思いました。

     

    Best Track: 「In Undertow」「Dreams Tonite」「Pimsoll Punks」

     

    8. Daniel Caesar 「Freudian」

     

     

    カナダ・トロントベースのシンガー、Daniel Caesarのデビュー作。

    女性上位なイメージがあるR&Bシーンにおいて、KhalidやGallantと共に、個人的に今後が最も楽しみな男性アーティストの一人。

    SydやH.E.R.などのゲストのセレクトも含め、今のR&Bシーンのムードをこれ以上ないほど的確に捉えた、とろけるようなメロウチューンのオンパレード!

    父親がゴスペルシンガーということもあって、バックにクワイアの荘厳なコーラスをフィーチャーした曲がいくつかあるのも印象的。

    オルタナティブなセンスを含め、Frank Ocean以降の何かを宿した才能の持ち主って感じで今後がかなり楽しみな存在。

     

    Best Track: 「Get You feat. Kali Uchis」「Best Part feat. H.E.R.」「Take Me Away feat. Syd」

     

    7. LCD Soundsystem 「american dream」

     

     

    NYベースのJames Murphyが中心のバンド、LCD Soundsystemの7年振り通算4作目となる新作。

    本当に待ちに待ったアルバムを聴く時って軽く緊張しちゃうタイプなんだけど、彼らの新作を再生したらそんな感情なんかすぐ忘れて、勝手に体が動き出して気分は最高潮に!

    ファンがどういう音を求めてたかを完全に理解したダンスロックの極みのようなサウンド!

    一発でLCDだと分かるような、彼らにしか生み出せないオリジナルの音がそこかしこに散りばめられてて、それがもれなく反則的にカッコいいんだよね。

    長年活動を休止してたとは到底思えない現役感というか、ここにきて新たにここまでのクオリティの作品を出せるJamesのクリエイティビティには心底恐れ入りますね。

     

    Best Track: 「i used to」「change yr mind」「tonite」

     

    6. Tyler, the Creator 「Flower Boy」

     

     

    LA出身のラッパー、Tyler, the Creatorの通算4作目となる新作。

    若手中心のゲストと制作陣による恐ろしく中毒性の高いメロウでルーズなゆるふわヒップホップ。

    今年一躍名を売ったRex Orange CountyやAnna of the North、Kali Uchisなどのライジングなアーティストを積極的に起用するあたりは、彼の音楽マニアっぷりが伺えますね。

    ここまでゆるさと聴き応えのバランスがとれたラップ作品ってちょっと記憶にないかも。

    カラフルなジャケットとは裏腹にかなり暗く病んだリリックなのも興味深いところ。

    シリアスとコミカルのバランスが抜群だよね。

     

    Best Track: 「Foreward feat. Rex Orange County」「Boredom feat. Anna of the North & Rex Orange County」「911 / Mr. Lonely feat. Anna of the North, Frankie October & Steve Lacy」

     

    5. Toro y Moi 「Boo Boo」

     

    サウスカロライナ州出身のアーティスト、Chaz Bundickによるソロ・プロジェクト、Toro y Moiの通算5作目となる新作。

    80sフレイバーと90sバイブスに00s以降のトレンドを絶妙な配合でブレンドさせた悶絶気持ちいいレトロモダンソウル。

    懐かしさと新しさがパーフェクトなバランスなんだよね。

    音楽的にはもちろん、ファッションや映像的な意味でもそのセンスを完全に信頼しきってる人が自分の中で3人いて、Dev Hynes、Robin Hannibal、そしてToro y Moi。

    何もかもが完璧に自分のツボを押しにくる感じで、この夏一番のサウンドトラックになりました。

     

    Best Track: 「Mirage」「Girl Like You」「Labyrinth」

     

    4. Moses Sumney 「Aromanticism」

     

     

    LAベースのアーティスト、Moses Sumneyの待望のデビューアルバム。

    これまでのシングルやEPが全て素晴らしい出来で、本当に心待ちにしていたアルバムだったのでかなりハードルが上がってたんだけど、遥か上を飛んでいった感じ。

    聴き手を一瞬で引きつけるボーカルに、神々しさすら感じるほど美しいフォークトロニカ〜モダンソウルなサウンドクリエイション。

    全てにおいて圧倒的なものを聴かされてただひれ伏すしかない。

    彼に関してはかなり早い段階からヤバいヤツだと気付いてたという自負があるので、今作の評価の高さはやっぱりね的な思いが正直あるかな。

    間違いなく向こう10年の最重要アーティストの一人!

     

    Best Track: 「Quarrel」「Lonely World」「Indulge Me」

     

    3. Yumi Zouma 「Willowbank」

     

     

    ニュージーランド出身の4人組バンド、Yumi Zoumaの去年のデビューアルバムに続く2ndアルバム。

    程良くアーバンな香りのドリーミーポップサウンドの心地良さはそのままに、前作以上にシティポップバンドとしての洗練度合いを深めた印象。

    前作よりR&B色が薄れた分、バンドのアンサンブルの巧みさが際立っていて、ボーカルの涼しげな響きと最高にマッチしてる。

    踊れてくつろげて、キラキラで切なくて。

    好きなアルバムって自分の中で2パターンあって、最初に聴いた時に衝撃を受けてハマるタイプと、気付いたらまた聴きたくなって日常的に当たり前のように流れてるタイプ。

    このアルバムはまさに後者にあたる作品で、この先も長い付き合いになるであろう一生モノに出会ったような気分です。

     

    Best Track: 「Depths (Pt.1)」「Persephone」「December」

     

    2. Kelela 「Take Me Apart」

     

     

    ワシントンD.C.出身のシンガー、Kelelaの待望デビューアルバム。

    これまでのミックステープやEPのリリースの度に高めてきた期待を爆発させたかのようなあまりにも完璧な一枚。

    エレクトロやドラムンベースをブレンドさせた一点の隙もないハイブリッドなフューチャーR&B。

    一音一音のエッジの効かせ方とかスムース&クールなボーカルの魅せ方とか、全てにおいてやってることのレベルの高さが尋常じゃない!

    90sオマージュの散りばめ方とかマジでセンス良すぎ!

    自分は去年のSolangeの「A Seat at the Table」がR&Bの進化を急速に加速させたと思ってるんだけど、その一番理想的な形の回答の仕方がこのアルバムなんじゃないかな。

    圧巻!

     

    Best Track: 「Frontline」「Waitin」「LMK」

     

    1. King Krule 「The OOZ」

     

    ロンドンベースのアーティスト、King Kruleの2ndアルバム。

    Archy Marshall名義のアルバムをはさみ、約4年振りにドロップされた今作を最初に聞いた時に受けた衝撃は今でも鮮明に覚えてる。

    ジャズの匂いが煙たく立ち込めた、60sナイトクラブな質感のポストロック〜インダストリアル・ソウル。

    痺れる程にディープでカオスなサウンドテクスチャー。

    さらっと加わるサックスやピアノの音色の格好良さったらもう・・・。

    何かとんでもないものを聴いてるという感覚。

    どんな生き方をすれば23歳でこんなとてつもないアルバムが作れるんだろう?

    凄すぎる!ヤバすぎる! 

    やっぱりこの人は天才でした。

     

    Best Track: 「Dum Surfer」「Cadet Limbo」「Czech One」

     

     

    というわけで長々と書いてきましたが、今年の下半期もかなりの豊作でしたね。

    実際色々聴き直しましたが本当は70枚くらい書きたいアルバムがありました(笑)

    トップ5のKing Krule、Kelela、Yumi Zouma、Moses Sumney、Toro y Moiあたりは正直順不同ってくらい全部大切なアルバムです。

    ただ上位に行くほど単純に聴いた回数が多いかなって感じ。

    只今年間ベストアルバムも作成中なので、出来たらまた発表したいと思います。

    よかったらそちらもチェックしてみてください!

    最後までお付き合い頂きありがとうございました!

     

     

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    2017年上半期 個人的ベストEP
    category: - | author: hashimotosan
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      前回は今年の上半期の個人的なベストアルバムを50枚ほど選んでみました。

      たくさん読んで頂いてるみたいで嬉しいですね。

      そして今回は同じく今年上半期にリリースされたEPの中で、個人的にベストだったものをいくつか選んでみたいと思います。

      大体4曲から7曲くらいの少なめのボリュームながらも、内容はとても充実したものがたくさんあるので、まだ未チェックのものがあればぜひ聴いてもらいたいなと思います。

      今回はアップカミングな若手を中心にチョイスしてみました。

      では長くなりますが最後までぜひお付き合いください。

       

      16. Mike Edge 「Mike Edge - EP」

       

      LAベースのSSW、Mike EdgeのデビューEP。

      レコーディングからプロデュース、ミックスを自分の、それも自分で建てたスタジオで行い、さらには自主レーベルからリリースするという完全マニュファクチュアリングなアーティスト。

      そんな環境だからこそのホームメイドでオーガニックな質感のサウンドは、ゆるーいレイドバック感が気持ち良い70s風のローファイポップスといった趣き。

      休日の昼下がりのダラダラした空気感がそのままパッキングされてるような感じですね。

       

      15. Yaeji 「Yaeji - EP」

       

      NYと韓国ソウルを拠点に活動しているアーティスト、YaejiのデビューEP。

      個性的なウィスパーボイスのリフレインがなんともクセになる感じで、気付いたら何度も再生していた作品ですね。

      終始ゆらゆらと宙を浮遊しているようなメロウなテクノ〜ハウスミュージック。

      90sディープハウスから10年代チルウェイブまでを通過した、今までにありそうでなかった響き。

      韓国のミュージックシーンには本当に逸材が多いなと改めて思いましたね。

      このEPには未収録だけど、彼女のDrake「Passionfruit」のリミックスはマジで絶品!

       

      14. Laura Misch 「Playground」

       

      サウスロンドンベースのSSWでサックスプレイヤー、Laura MischのデビューEP。

      まるで森林浴でもしているかのようにほのぼのと優しい癒しのサウンド。

      ほんのりとジャズのテイストを加えたメロウなポップ/R&Bは日々の疲れに効果抜群です。

      味わい深いボーカルがとても素敵なのに加えて、彼女のサックスの響きも非常に洗練されていて好きですね。

      彼女はTom Mischのお姉さんでこれまでの彼の作品にも参加してるんだけど、やっぱり血の繋がりというのは凄いですね。

      一体彼らの親はどんな育て方をしてこんな素晴らしいミュージシャンを2人も送り出しのか、とても気になります。

       

      13. Henry Green 「Real - EP」

       

      UKはブリストル出身のアーティスト、Henry Greenの2作目となる新作EP。

      RhyeとThe xxとBonoboを取り混ぜたようなアダルトでクールな世界観。

      SadeライクなモダンR&Bの色気を纏ったチルアウトなエレクトロサウンド。

      ミステリアスな雰囲気も含め、どこまでも洗練された響きにうっとりしちゃいます。

      声だけを聴いてなんで女性なのに名前がHenryなんだろう?と思ってたら、歌ってる映像を観て男性でビックリ!

      去年のデビューEPから1曲もハズレがない驚異の才能。

      デビューアルバムが待ち遠しいです。

       

      12. Fortunes. 「Undress - EP」

       

      オーストラリア、メルボルンベースのR&Bデュオ、Fortunes.の3作目となる新作EP。

      FlumeやNick Murphyを擁するオーストラリアの名門レーベル、Future Classic期待の新人だけあってさすがのクオリティでしたね。

      R&Bをベースにエレクトロサウンド、ヒップホップなどを幅広く取り込んだキラキラとしたサウンドスケープ。

      時折エモーショナルになる2人のハーモニーもとても心地良いです。

      今後大化けしそうな予感大!

       

      11. H.E.R. 「H.E.R. Vol. 2」

       

      ほとんど情報がないミステリアスな女性R&Bシンガー、H.E.R.の2作目の新作EP。

      去年リリースされた第1弾EPがR&B好きの間で軒並み話題となり、そのクオリティの高さに多くのミュージシャンからも賛辞を送られた彼女。

      恐らくGabi Wilsonというシンガーがその正体なんですが、今回の新作もジャケットはシルエットのみという徹底ぶり。

      最近売り出し中のプロデューサー、DJ Camperが多くを手掛けたダウンテンポでメロウなR&Bサウンドは、彼女のシルキーでセクシーなボーカルと見事なアンサンブルを響かせています。

       

      10. Amber Arcades 「Cannonball」

       

      オランダ出身のSSW、Amber Arcadesの新作EP。

      去年リリースのデビューアルバム「Fading Lines」もかなり素晴らしい出来だった彼女。

      早くも届けられた新作EPも安定して最高のクオリティ。

      'Til Tuesday時代のAimee MannとかMelody's Echo Chamberみたいな、気怠さとキュートさのバランスが絶妙なボーカルと、仄かにアンニュイなオルタナロック・ポップサウンドがベストマッチ。

      やっぱりこういうやる気なさげにロックをかき鳴らす女子が好きだ。

       

      9. Cosmo Pyke 「Just Cosmo - EP」

       

      サウスロンドンベースの18歳のSSW、Cosmo PykeのデビューEP。

      彼との出会いは今年上半期でトップクラスの衝撃でしたねぇ。

      様々なジャンルをごく自然にミックスして出来上がった、チルアウトでローファイな質感の独自のサウンド。

      フレキシブルな曲展開とか感覚的なサウンドメイクとか全てが新鮮な響き。

      こんな斬新な音を弱冠18歳で作ってしまう凄さ。

      逆に言うと10年代に音楽に目覚めた18歳という年齢だから作れる音なのか。

      いずれにせよヤバい才能の持ち主なのは間違いないでしょう。

       

      8. Jakob Ogawa 「Bedroom Tapes - EP」

       

      ノルウェー出身のアーティスト、Jakob OgawaのデビューEP。

      ここ最近のベッドルームのお供として大変重宝している作品。

      程よくジャジーで甘すぎないほんのり微糖なドリーミーポップ。

      あまりに心地良すぎてたった10分で夢の世界に連れていかれちゃう。

      このEPには未収録のシングルも全部最高なんだよね。

      良い意味で人をダメにする極上のリラックスミュージックをこれからも作り続けてほしいです。

       

      7. Sonder 「Into」

       

      メリーランド出身のR&Bシンガー、Brent Faiyazを中心に活動している3人組、SonderのデビューEP。

      Drakeの登場以降、dvsnやBryson Tillerなど90sムードなバイブスを纏ったR&Bがトレンド化したけど、その流れを華麗に乗りこなしているのが彼らであり今作。

      90年代のR&Bって独特の無機質さや黒さ、エロさがあると思うんだけど、その響きを継承しつつ現行の新たなR&Bサウンドとして昇華させているのが実にお見事!

      1996年リリースみたいな音してる。

       

      6. Tom Misch 「5 Day Mischon - EP」

       

      サウスロンドンベースのSSWでギタリストでもあるTom Mischの新作EP。

      去年リリースのEP「Reverie」も最高だった彼の新たなプロジェクトが今作。

      タイトルの通り5日間で5人のアーティストとセッションし、それをまとめたものになっています。

      おなじみのCarmodyやWill Heardに加え、グライムラッパーのNovelistなど意外なコラボもありますが、そのどれもが最高に心地良いジャジーでスムースなR&B/ポップといった感じ。

      現在アルバム制作中でその息抜き的な意味で作ったらしい!

      天才かよ。

       

      5. Promise Keeper 「S/T - EP」

       

      アトランタ出身のWilliam Fussellのソロプロジェクト、Promise KeeperのデビューEP。

      ソウル・R&Bの色気を加えたアダルトな空気感のモダンネオンポップ。

      レイト80sな質感のロマンティックなシンセの音がなんともあざといというか。

      実験的なアプローチも含めて、もうこれ以上ないってくらい洗練された、緊張と緩和が支配した音の世界。

      詳しいことは分からないけど、もの凄いレベルの高いことをやってることだけは分かる。

      フィジカルリリースはカセットテープのみっていうところもなんか好きです。

       

      4. Aaron Childs 「My Way - EP」

       

      LAベースのアップカミングなアーティスト、Aaron ChildsのデビューEP。

      偶然耳にした瞬間に心を掴まれた、恐らく今回紹介する中で最も知名度の低いアーティスト。

      レトロでメロウでレイドバック、そして程よくダンサブルなソウルサウンドが気持ちいいったらありゃしない。

      渋さと軽やかさを同居させた絶妙なサウンドセンス。

      懐かしい質感なんだけど、2017年産の音としてとても真っ当に鳴っている。

      この人はもっと注目、評価されるべきだと思う。

       

      3. EXIT SOMEONE 「Dry Your Eyes」

       

      カナダのモントリオールベースの夫婦デュオ、EXIT SOMEONEのデビューEP。

      元TOPSのメンバーで現在はVesuvio Solo(このバンドも最高!)としても活動するThomと、その妻Juneによるユニット。

      R&B〜AOR〜ソフトロックなサウンドが抜群の心地良さで、曲によってボーカルがそれぞれ変わったりして、何度聴いても全く飽きのこない仕上がりになってます。

      時間も場所も一切気にせず聴ける音楽の自分の中の理想として、ほぼ完璧と言い切れるくらい好き。

      先ほど紹介したPromise Keeperとも同じフランスのAtelier Ciseauxからのリリースなんだけど、ホントこのレーベルは間違いなさすぎる。

       

      2. Amber Mark 「3:33 AM」

       

      ベルリン生まれでNYベースのシンガー、Amber MarkのデビューEP。

      自分はよく一目惚れならぬ一聴き惚れをしちゃうんだけど、彼女もその一人。

      ほんのりハウステイストなトライバルソウルに乗っかる伸びやかで渋めのボーカルの気持ち良さったら!

      ラテンやゴスペル、民族音楽まで幅広く取り入れた独自のサウンドが出来上がったのは、彼女が世界中を転々と渡り歩いてきたからなんだそう。

      声の魅力はもちろん、リズム感覚や音のチョイスのセンスも抜群で、今後確実に大きくなっていく存在だと確信してます。

       

      1. Steve Lacy 「Steve Lacy's Demo」

       

      The Internetのメンバーとしても活動しているSteve LacyのソロデビューEP。

      今年の上半期でアルバムも含め、最もよく聴いた音楽作品の一つがこちら。

      バンドの時のサウンドと比べるとかなりロック寄りというか、自身のギターを活かした生音重視な質感になってるなという印象。

      懐かしくて新しいハイブリットなソウルミュージックがとにかく最高の一言。

      基本的にはゆるくてレイドバックな感じなんだけど、決める所は決めるというか。

      弱冠18歳でKendrick Lamarをはじめ、数々のアーティストのプロデュースもこなすなど才能に溢れてますよね。

      向こう10年で最も注目すべき存在の一人だと思います。

       

      ということで16枚ほどベスト作を選んでみましたがいかがだったでしょうか?

      個人的にはアルバムよりもEPの方がセレクトに個性は出せたかなと思います。

      アルバムと違いEPって本当にそのアーティストが好きだったり、シーンの動きに敏感じゃないとリリースされてることすら気付かない場合も多いですからね。

      今後今回紹介したアーティストの中から次なるスターが生まれるかもしれませんからね。

      早いうちにチェックして損はないと思います。

      少しでも参考になったり聴くきっかけになれば嬉しい限りです。

      最後までお読み頂きありがとうございました!

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      2017年上半期 個人的ベストアルバム50
      category: - | author: hashimotosan
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        今年も早いものでもう半分。

        最近はあまり更新できていなかったこのブログですが、自分の今年の上半期を振り返って頭を整理する意味でも、ベストアルバムを選んでみたいと思います。

        順位をつけた方が見やすいし分かりやすいかなと思うので一応つけてます。

        まだ聴いてないアルバムや気になったアルバムがあったら、ぜひチェックしてもらえたらなと思います。

        では長くはなりますが最後までお付き合いいただけたら!

         

        50. Tei Shi 「Crawl Space」

         

        アルゼンチン出身でNYのブルックリンベースのSSW、Tei Shiのデビュー作。

        80sポップからR&B、エレクトロまで、多種多様なジャンルの音楽を織り交ぜて彼女というフィルターを通過して出来上がったサウンドは、その良い部分だけが抽出されたカレイドスコープな質感。

        ほぼすべての曲をたった一人で作ってるというんだから驚き!

        曲によって表情やスタイルを微妙に変えて、でもそのどれもを自分の色として描いてしまうあたり、彼女の才能を感じましたね。

         

        Best Track:「Keep Running」「How Far」「Say You Do」

         

        49. Leif Vollebekk 「Twin Solitude」

         

        カナダはモントリオール出身のSSW、Leif Vollebekkの通算2作目の新作。

        渋さ満点のしゃがれたボーカルと、トラッドなフォーク・ブルースの相性が抜群!

        そこに少々ジャジーでモダンなエッセンスを加えているあたりがマジでセンスある。

        冬から春に変わりそうな時期の、夜から朝に変わりそうな時間のような、アルバムジャケットのような靄がかったサウンド。

        特に何もなかった一日の終わりにこのアルバムをお酒と共に聴いたら、それだけでもうその日は素晴らしい日になる気がする。

         

        Best Track:「Vancouver Time」「Elegy」「Into the Ether」

         

        48. TOPS 「Sugar At the Gate」

         

        カナダはモントリオールベースのバンド、TOPSの通算3作目となる新作。

        ここ数年はこういったゆるめのソフトロックが割とブームだけど、その先駆けとも言えるのが彼らと所属レーベルのArbutus Records。

        アンニュイでメランコリーでジャストライクハニーな質感のロックサウンドは今作でも健在。

        R&Bやディスコの要素が加わった曲なんかもあって、これまで以上に飽きのこない仕上がりに。

        終始耳元で囁くように歌うボーカルがなんともズルいです。

         

        Best Track:「Further」「Petals」「Seconds Erase」

         

        47. Aimee Mann 「Mental Illness」

         

        孤高の女性SSW、Aimee Mannの5年振りの新作。

        Aimee Mannはもう長年ファンで、'Til Tuesdayの頃の作品も大好きなんだけど、今回のアルバムも相変わらず素晴らしかったですねぇ。

        優雅なストリングスも、温かみのあるギターもピアノも、そして味わいと深みの増した彼女の声も、このアルバムで鳴っている全ての音が優しい響き。

        ちょうど年度末から新年度にかけての多忙な時期にこういうフォークサウンドに心身ともに癒やされてたなぁ。

         

        Best Track:「Goose Snow Cone」「Rollercoasters」「Good for Me」

         

        46. Kraków Loves Adana 「Call Yourself New」

         

        ドイツはハンブルグベースの男女デュオ、Kraków Loves Adanaの新作。

        The xx以降の気怠く冷めた空気を吸い込んだ、ミニマルでソリッドなオルタナロックサウンドがとにかくクール。

        淡々としていながらも時折エモーショナルな瞬間もあったりして。

        妖しげなボーカルが作り出す耽美な世界観は基本的にモノクロなんだけど、そういう瞬間に色が加わる感じが好き。

        似た系統のLondon Grammarの新作も良かったけど、個人的にはこちらに軍配。

         

        Best Track:「False Alarm」「Youth Unbroken」「Never Quite Right」

         

        45. Jens Lekman 「Life Will See You Now」

         

        スウェーデン出身のSSW、Jens Lekmanの通算4作目となる新作。

        自然と身体が動き出すサンバやカリプソ由来のトロピカルな香りとリズムの刻み方。

        そこに彼の抜群のメロディーセンスが加わって、マジで南国にでもいるんじゃないかってくらい極楽なサウンド。

        DrakeやRihannaとはまた全然違った角度で中南米のサウンドを捉えていて、その辺の目の付け所が見事!

        ウキウキした春先にピッタリのアルバムでした。

         

        Best Track:「Hotwire The Ferris Wheel feat. Tracey Thorn」「What's That Perfume That You Wear?」「How We Met, The Long Version」

         

        44. Homeshake 「Fresh Air」

         

        カナダはモントリオールベースのPeter Sagerによるソロプロジェクト、Homeshakeの通算3作目となる新作。

        元々Mac DeMarcoのサポートメンバーとして活動していた彼。

        Mac譲りのゆるーい脱力系R&B〜ローファイポップなサウンドがなんともクセになる感じ。

        アルバムのそこら中に90sなチープな音使いを忍ばせてるあたりがニクいですねぇ。

        聴いてると身体の凝りが解れていくような感覚で、気付いたら何度も再生してました。

         

        Best Track:「Every Single Thing」「Khmlwugh」「This Way」

         

        43. Matt Martians 「The Drum Chord Theory」

         

        The InternetのメンバーでもあるMatt Martiansの待望のソロデビュー作。

        ここ数年の音楽シーンの中でもトップレベルで音楽的変態度数が高い集団がThe Internetだと思ってるんだけど、その主犯格的な存在が彼。

        今作でもその音楽IQの高さをいかんなく発揮していて、一筋縄ではいかないR&Bサウンドのオンパレードみたいなアルバムに仕上げちゃってます。

        ヒップホップやエレクトロをごく自然に取り入れた中毒性の高いサウンドはThe Neptunesからの影響を強く感じたかな。

         

        Best Track:「Dent Jusay feat. Syd & Steve Lacy」「Spend the Night / If You Were My GF」「Diamond in da Ruff」

         

        42. The Drums 「Abysmal Thoughts」

         

        NYベースのバンド、The Drumsの通算4作目となる新作。

        バンドとは言え、ソロプロジェクトとしての初めての作品となる今作でもこれまでのようなチープでゆるいサウンドは健在。

        アルバムのほぼ全ての作詞作曲、アレンジ、さらには楽器の演奏をたった一人で行ったそう。

        だからなのかは分からないけど、スカスカで粗っぽい作りになっていて、でもそれが妙にクセになってしまう感じ。

        あとはやっぱりファッションも含め、Jonnyのセンスそのものが独特で、自分はそれに惹かれてるんだなと再確認させられたアルバムでした。

         

        Best Track:「Mirror」「Blood Under My Belt」「Head of the Horse」

         

        41. Kelly Lee Owens 「Kelly Lee Owens」

         

        イギリスのウェールズ出身のアーティスト、Kelly Lee Owensのデビュー作。

        元々インディーロックバンドのベーシストという面白い経歴を持つ彼女だけど、今作で聴かせているのはアンビエントでドリーミーな質感のエレクトロ〜テクノサウンド。

        フロアの温度を緩やかに、でも確実に上げていくようなクールさと内なる熱さを持ち合わせた新感覚の電子音楽は、民族音楽へのアプローチも見せていて、聴いていると次第にトリップしていくような感覚。

        ミステリアスなボーカルとも見事に溶け合っていて、これからも夜の深い時間に重宝しそう。

         

        Best Track:「S.O」「Anxi. feat. Jenny Hval」「CBM」

         

        40. Vagabon 「Infinite Worlds」

         

        NYベースでカメルーン出身のLætitia Tamkoを中心に活動しているバンド、Vagabonのデビュー作。

        初めは黒人の女子がこういったロックサウンドをやるのが珍しいから気になって聴いてみたんだけど、その肉感的で生々しいボーカルとサウンドに一発で心を掴まれたんですよね。

        心地良いソウルな部分と粗削りなローファイな部分を、上手いことバランスよく消化しているなという印象。

        その演奏のほとんどを彼女一人でこなしていると聞いてビックリ!

        今後が物凄く楽しみな存在の一人。

         

        Best Track:「The Embers」「Fear & Force」「Cold Apartment」

         

        39. Fazerdaze 「Morningside」

         

        ニュージーランドベースのSSW、Amelia Murrayによるソロプロジェクト、Fazerdazeのデビュー作。

        爽やかで軽やかなベッドルーム発のギターポップがとにかく気持ち良くて、この春にヘビーローテーションしてました。

        特に新しいことをやってるわけじゃないし、多分似たようなサウンドをやってる女子はこの世界に数多くいると思う。

        でも彼女が鳴らしている現実と夢の間みたいな、夜と朝の間、いや朝と昼の間くらい曖昧なフワッとした質感のサウンドは、狙って作り出したものではない気がする。

        その辺のサウンドセンスの良さが彼女が他とは違う理由の一つなのかなと。

         

        Best Track:「Little Uneasy」「Jennifer」「Take It Slow」

         

        38. Rejjie Snow 「The Moon & You」

         

        アイルランドはダブリンベースのラッパー、Rejjie Snowのデビューミックステープ。

        ここ数年のヒップホップシーンはFutureやYoung Thug、Migosなどに代表される、いわゆるトラップの勢いを強く感じるけど、そんな流れとは一線を画すジャジーでメロウな質感のサウンドを前面に出したのが今作。

        去年傑作をリリースしたJamie Isaacとも繋がってたり、ダブリンの音楽シーンの若手の充実っぷりを見せつけるようなスタイリッシュでクールな仕上がり。

        今年中にデビューアルバムのリリースも予定してるみたいで、かなり楽しみです。

         

        Best Track:「Fashion Week」「Purple Tuesday feat. Joey Bada$$ & Jesse Boykins III」「Sunny California」

         

        37. Day Wave 「The Days We Had」

         

        カリフォルニアはオークランド出身のJackson Phillipsによるソロプロジェクト、Day Waveのデビュー作。

        彼のことはデビューEPをリリースした3年前から追いかけ続けてるんだけど、待ち続けた甲斐のある素晴らしいアルバムを届けてくれましたね。

        一貫して変わらない疾走感のあるドリーミーなギターポップサウンドは、聴いてるとどこかへ出かけたくなるような、何かを始めたくなるような、自分の中にきっかけをくれるような感じ。

        どこかは分からないけど、でも確実にここではないどこかへ進んでいってるポジティブなパワーが込められてるようなアルバムなのかなと思います。

         

        Best Track:「Something Here」「Wasting Time」「Promises」

         

        36. Phoenix 「Ti Amo」

         

        フランスを拠点に活動しているバンド、Phoenixの通算6作目となる新作。

        80s風味のキラキラな質感のシンセポップは、懐かしさと新しさが同時に味わえる不思議な感触。

        洗練されてるのにあえて安っぽい作りにしちゃう感じに彼らの余裕と遊び心、センスを感じましたね。

        今作でもファッショナブルでロマンティックでダンサブルな、みんなが好きなPhoenixそのものって感じの音を響かせてくれてます。

        聴いた人みんなを踊らせて気分を高めさせる魔法がかけられてるとしか思えないね。

         

        Best Track:「J-Boy」「Tuttifrutti」「Goodbye Soleil」

         

        35. Bonobo 「Migration」

         

        イギリスはブライトン出身のアーティスト、Bonoboの通算6作目となる新作。

        歌詞について思いを馳せてみたり、深く考えさせられたり、その世界の中に入り込むタイプの音楽が自分は好きだけど、このアルバムはそうじゃなかった。

        機械的じゃない人間味のあるエレクトロサウンドがあまりにも心地良くって、気付いたらもう終わってたみたいな感じ。

        このアルバムを聴きながら歩いてたら、いつもの何てことない景色が見違えるように美しく見えたんだよね。

        そんなマジカルなパワーを持った作品だと思う。

         

        Best Track:「Migration」「Break Apart feat. Rhye」「Outlier」

         

        34. Choker 「Peak」

         

        デトロイトベースの新進気鋭のアーティスト、Chokerのデビュー作。

        Frank Oceanのフォロワーはこの世界に数多くいるけど、恐らく一番近い距離にいるのが彼だと思う。

        R&Bをベースにエレクトロ、ヒップホップ、アンビエントなど、様々なジャンルの音楽の良い部分を取り入れた新感覚のサウンド。

        まだほとんど知られていないアーティストだと思うけど、この完成度は確実に只者じゃない。

        彼の中の創作意欲だったりチャレンジ精神が溢れ出てこぼれ出してるのが聴いてると伝わってくるような感覚。

        数年後凄い存在になってたりして。

         

        Best Track:「Brown Steel」「Diorama」「El Dorado」

         

        33. Zack Villere 「Little World」

         

        ルイジアナ出身の新人アーティスト、Zack Villereのデビュー作。

        ゆるーい・オブザイヤーをあげたいくらい、どこを切っても力みのかけらも感じられない脱力ポップ・R&B。

        ベッドルーム生まれのレイドバックな質感のサウンドがとにかく心地良くて大ハマりしてましたね。

        The InternetやTyler the Creatorも彼のファンらしい。

        理由は分からないけど人を引きつける何かがこのアルバムにはあるみたい。

         

        Best Track:「Cool」「Minivan feat. J'von」「You Don't Care」

         

        32. Alfa Mist 「Antiphon」

         

        東ロンドン出身のビートメイカー、Alfa Mistのデビュー作。

        ここ数年ジャズとヒップホップの化学反応はより一層研ぎ澄まされてきてるけど、その最高な形の着地点なんじゃないかっていうくらい良質なサウンドテクスチャー。

        数年前にKamasi Washingtonの「The Epic」を最初に聴いた時と同じレベルの衝撃が走りましたね。

        スタンダードジャズな部分もありつつ、ヒップホップ世代ならではのリズムの構築の仕方を感じさせるところもあって、こんな洗練されたサウンドを弱冠26歳が作り上げたとは到底思えないような作品に仕上がってます。

         

        Best Track:「Keep On」「Breathe feat. Kaya Thomas-Dyke」「7th October」

         

        31. Loyle Carner 「Yesterday's Gone」

         

        サウスロンドンベースのラッパー、Loyle Carnerのデビュー作。

        90sヒップホップ由来のジャジーなトラックに、低温度のストーリーテリングラップが乗っかった、ただただクールな一枚。

        渋めの声で淡々とラップする感じはUKならではの雰囲気だけど、サウンド面ではオールドスクールなUS産ヒップホップからの影響を感じるのが興味深いところ。

        何気ない日常を綴ったリリックの生々しさや痛々しさなんかも今作が面白い要素の一つ。

        夜の深い時間にお酒と共に楽しむのにピッタリのアルバムでした。

         

        Best Track:「Damselfly feat. Tom Misch」「Florence feat. Kwes.」「NO CD feat. Rebel Kleff」

         

        30. Real Estate 「In Mind」

         

        ニュージャージーベースのバンド、Real Estateの通算4作目となる新作。

        メンバーチェンジがあったものの、みんなが大好きなReal Estateの響きは全く失われていなく。

        ただこれまでよりも若干グルーヴィーになったというか、大人っぽくなったなという印象。

        優しい日差しが差し込む陽だまりで微睡んでいるような、爽やかで軽やかなギターのアンサンブルがとにかく気持ち良い。

        こういうのをエヴァーグリーンな音っていうんだろうなと思う。

         

        Best Track:「Darling」「Serve the Song」「Saturday」

         

        29. Rex Orange County 「Apricot Princess」

         

        ロンドンベースの弱冠18歳のSSW、Rex Orange Countyの2作目となる新作。

        ロックからR&B、ポップまでを自由に行き来するフレキシブルなサウンドはもうセンスの塊としか表現しようがない。

        突然ラップしだしたり、リズムが不規則になったり、1曲毎どころか1曲の中での展開が凄まじい。

        この辺は若さゆえというか、ヒップホップもロックも普通に同じ感覚で聴いて育った世代ならではの感覚なのかなと。

        こんな幅の広いサウンドをほとんど一人で、しかも18歳の青年が作ってるという驚異の事実。

        間違いなくヤバい才能の持ち主!

         

        Best Track:「Nothing feat. Marco Mckinnis」「Untitled」「Waiting Room」

         

        28. Hugh 「Love, Hugh」

         

        ロンドンベースの男女2人のユニット、Hughのデビュー作。

        90sR&Bからヒップホップ、エレクトロあたりを絶妙な配合でブレンドさせたハイブリットなサウンドがとてつもなくモードな一枚。

        性別も人種も声質もまるで違う2人のボーカルが不思議とマッチしていて、サウンドに程よくキャッチーさと深みを加えてる。

        個人的に期待していた去年のAlunaGeorgeのアルバムに求めていたサウンドを、彼らが完璧な形で仕上げてくれちゃった感じ。

        モードな中にちょびっとのストリート感を感じさせるあたり、センス良すぎるでしょ。

         

        Best Track:「One of These Days 」「I Can't Figure You Out」「Take It Slow」

         

        27. Niia 「I」

         

        LAベースのシンガーでありピアニスト、Niiaのデビュー作。

        Rhyeなどを手掛けてるRobin Hannibalがプロデュースしているという時点で、もう最高なことは決定していたようなもんだけど、案の定素晴らしい内容。

        エモーショナルなボーカルもムーディーなトラックも、何もかもが高水準なモダンR&B・ソウル。

        どこかトロピカルな雰囲気を感じさせるあたりがLA由来だなぁって感じでニヤつく。

        程良くエロティックで品の良いセクシーさが作品全体を包んでいて、この夏は幾度となくお世話になりそう。

         

        Best Track:「Hurt You First」「Sideline」「California」

         

        26. Ginger Root 「Spotlight People」

         

        ハンティントンビーチ出身のSSW、Ginger Rootのデビュー作。

        今年の頭に偶然出会って以来、ずっと聴き続けてる作品。

        ソウルとサーフロックが入り混じったようなソフトロックサウンドがとにかく気持ち良くて、朝目覚めるとまず再生する日々が続いてました。

        カリフォルニアならではのレイドバック感とローファイ感のバランスも見事。

        Toro Y Moi好きにはたまらないアルバムでした。

         

        Best Track:「Emulous」「Belleza」「Thx」

         

        25. (Sandy) Alex G 「Rocket」

         

        フィラデルフィアベースのSSW、Alex G改め(Sandy) Alex Gの通算7作目となる新作。

        近年枕詞のようになってる「Frank Oceanのアルバムにも参加した」という宣伝文句も、もはや意味をなさないくらい1人のサウンドメイカーとしての凄みを証明した感のある今回の作品。

        これまでのようなローファイ感強めなベッドルームサウンドに加え、アメリカーナやカントリーサウンドを大胆に取り入れた摩訶不思議な世界観。

        古典的だけど斬新。守ってるようで物凄い攻めてる。

        自由で寛大な発想じゃないとこんな作品は作れない。

         

        Best Track:「Pround」「Bobby」「Sportstar」

         

        24. Fleet Foxes 「Crack-Up」

         

        シアトル出身のバンド、Fleet Foxesの6年振り、通算3作目の新作。

        唯一無二の壮大で美しいフォークサウンドはそのままに、今作では曲の構成がこれまで以上に複雑になっている印象。

        優雅で牧歌的なコーラスとアコースティックな音色の圧倒的な迫力と美しさ。

        それをプログレッシブなアレンジで今までに聴いたこともないような世界観に仕上げてる。

        恐らく相当レベルの高いことをやってるんだけど、温かみや親しみやすさもきちんと残していて。

        そういうところが彼らの凄さなんだよなぁ。

         

        Best Track:「Third of May / Ōdaigahara」「Fool's Errand」「Crack-Up」

         

        23. Syd 「FIN」

         

        The InternetのメンバーでもあるSydのソロデビュー作。

        バンドの時と比べるとよりポップというか、メインストリーム寄りのサウンドになっていて、これは彼女がUsherやBrandyを意識して制作したからなんだそう。

        00年代のヒップホップ・R&Bを通過してきた世代ならではの解釈のダウナーなモダンソウルがとにかくスタイリッシュ。

        シルキースムースなボーカルもクールに溶け合っていて、ストリートな空気をより洗練された印象にしてますね。

        彼女の中で今作はあくまでもバンドのサイドプロジェクトという位置づけのようなんだけど、それにしてはあまりにもよく出来たアルバムだなと思う。

         

        Best Track:「Body」「Dollar Bills feat. Steve Lacy」「Over feat. 6LACK」

         

        22. Cigarettes After Sex 「Cigarettes After Sex」

         

        ブルックリンベースの4人組グループ、Cigarettes After Sexのデビュー作。

        これまでリリースしてきたEP群の圧倒的なクオリティそのままに、今作もグループ名を体現するアダルトな仕上がりに。

        程良い高揚感と倦怠感が交互に押し寄せるドリーミーなサウンドは、ひたすらに美しくロマンティックで深い世界観。

        聴き終わった耳に残るのは、まだ生温かい体の熱や匂いといった類の何か。

        黒で統一されたビジュアルイメージも、無駄なものを一切排除したシンプルな作りで素晴らしい。

        夜の深い時間にこれほどまでにマッチするアルバムはそうそう出会えないと思う。

         

        Best Track:「K」「Each Time You Fall in Love」「John Wayne」

         

        21. Feist 「Pleasure」

         

        カナダ出身の女性SSW、Feistの通算5作目となる新作。

        ブルースとロックとサイケをシンプルに追及した結果、こんなにもモダンに仕上がるのかと思い知らされる感じ。

        少ない音数と抑えたボーカルに凝縮された厚みと凄み。

        そこに時々彼女の荒っぽいギターとボーカルが感情を爆発させたように加わって。

        一音一音の説得力が尋常じゃない。

        ここにきてまだこんな傑作を生みだす彼女はやっぱり只者じゃないね。

         

        Best Track:「Pleasure」「Century」「I'm Not Running Away」

         

        20. Beach Fossils 「Somersault」

         

        NYブルックリンベースのバンド、Beach Fossilsの通算3作目となる新作。

        前作は正直あんまり好きじゃなかったんだけど、タイトル通り見事に宙返りしてきたなという感じ。

        風通しのいい爽やかでメランコリックなネオアコ〜ギターポップなサウンドがとにかく瑞々しい。

        いつ聴いても気分を休日にしてくれそうな脱力系ドリーミーな質感が心底気持ち良いですね。

        彼らのNY愛が溢れたミュージックビデオも素晴らしい仕上がりでした。

        今年の初夏のBGMはこのアルバムで決定というくらい、現在進行形でヘビロテ中!

         

        Best Track:「Tangerine feat. Rachel Goswell」「Saint Ivy」「Down the Line」

         

        19. Lorde 「Melodrama」

         

        ニュージーランド出身のSSW、Lordeの2作目となる新作。

        ダークでマニアックな空気をまるで魔女のように操っていた少女の面影はどこへやら。

        今作で彼女が鳴らしているのは彼女なりの最高のポップミュージック。

        ただそれは決してセルアウトなものではなくて、挑戦的姿勢かつ先鋭的志向によってマスとコアの両方にアピールできる仕上がりにしてきているのがお見事!

        相変わらず圧倒的に生々しい剥き出しのボーカルもより表現力豊かにスケールアップしていて。

        やっぱりこの人は天才でした。

         

        Best Track:「Green Light」「Supercut」「Perfect Places」

         

        18. Moonchild 「Voyager」

         

        LAベースの3人組グループ、Moonchildの通算3作目となる新作。

        近年再評価の波が来ているいわゆるネオソウルサウンドの代表格とも言える彼ら。

        今作でも柔らかいボーカルと程よく都会的でジャジーなR&B〜ソウルが溶け合った極上のサウンドを作り上げてます。

        再生した瞬間から自分の中の一切の負の感情が消え去っていくのが分かるというか。

        何から何まで洗練されつくした最上級の癒しの響き。

        永遠に聴いていられる。

         

        Best Track:「Cure」「Hideaway」「Now and Then」

         

        17. Amber Coffman 「City of No Reply」

         

        元Dirty ProjectorsのメンバーでもあるAmber Coffmanのソロデビュー作。

        バンド時代の不思議な世界観を良い意味で引きずったマジカルなアートポップ。

        美しいメロディーやR&Bからの影響を感じるシルキーなサウンドは心地良さ抜群だけど、音の使い方やリズムの組み立て方が普通じゃない。

        この辺は公私共にパートナーだったDavid Longstrethのプロデュースならではという感じ。

        あとは何よりもやっぱりこの声が自分は好きなんだなと再確認した一枚でした。

         

        Best Track:「All to Myself」「Miss You」「Nobody Knows」

         

        16. Julie Byrne 「Not Even Happiness」

         

        NYベースのSSW、Julie Byrneの2作目となる新作。

        今年自分を最も癒してくれているアルバムの一つ。

        神秘的で味わい深いボーカルと優しくて素朴なギターの音色が混ざり合ったフォークサウンド。

        アメリカの各地を旅しているときにそれぞれの地で作られた楽曲で構成されているらしく、まるでその土地の空気までパッキングされているようなマイナスイオンたっぷりの質感が最高に心地良いです。

        あまりにも美しくピュアな至福の時間が流れてます。

         

        Best Track:「Follow My Voice」「Natural Blue」「I Live Now As a Singer」

         

        15. Hoops 「Routines」

         

        インディアナ州ブルーミントンベースのバンド、Hoopsのデビュー作。

        2年前のEPからずっと追い続けてきたけど、その期待に見事すぎるほど応えてくれてます。

        コード進行のセンスからギターリフのフレーズ選びから、もう何から何まで自分のツボを完璧に押さえてきてる。

        終始靄がかかったようなボーカルの存在感が良い意味で薄いので、バンド演奏との一体感というか溶け合い方が見事だなぁという印象も。

        全てがちょうど良い味付けの甘く淡くほろ苦いローファイ・ギターポップは、2017年の春のBGMとして完全にメモリーされました。

         

        Best Track:「Rules」「On Top」「Burden」

         

        14. Nick Hakim 「Green Twins」

         

        NYベースのSSW、Nick Hakimのデビュー作。

        眠りに就くか就かないかの瞬間の、浮遊感と微睡みが支配した気持ち良さしかない音の世界。

        聴いてるとどこかに連れていかれそうな感覚になるベッドルーム生まれのローファイ・ソウル。

        サイケデリックな音使いもあったりして、夢と現実の狭間のような絶妙にモヤモヤした質感。

        中毒性が恐ろしく高くて、しばらく取り憑かれたように聴いてたなぁ。

        一度ハマると中々抜け出せないのでご注意を。

         

        Best Track:「Bet She Looks Like You」「Roller Skates」「Those Days」

         

        13. Mac DeMarco 「This Old Dog」

         

        カナダ出身のSSW、Mac DeMarcoの通算3作目となる新作。

        この作品を聴いて改めて思ったけど、彼の曲を聴いてる時の気持ち良さは、休みの日にベッドでゴロゴロしてる時とか風呂上りにビールを飲む瞬間と肩を並べるレベルだよね。

        良い意味でやる気のない、締まりのない、力の入ってないリラックスミュージックの極み。

        これまでの作品よりもR&Bからの影響を感じるのに加えて、細野晴臣をはじめとする日本人ミュージシャンからインスパイアされたサウンドなのも興味深いところ。

        衣装とか行動とかはさて置き、音楽に関しては完全に信頼してます。

         

        Best Track:「For the First Time」「One More Love Song」「On the Level」

         

        12. Drake 「More Life」

         

        カナダ出身のラッパー、Drakeの去年の「Views」以来となる新作。

        Drakeはこの作品をアルバムではなくミックステープでもなく「プレイリスト」と称してるんだけど、彼が世の中に紹介したい若手アーティストとのコラボが多かったからそう呼んでるんだそう。

        SamphaやJorja SmithといったUKの若手やグライムシーンのラッパー、さらには現行のUSヒップホップシーンの重要人物まで幅広く招いてシーンの最先端を切り拓いていってるような印象。

        良い意味でゴチャゴチャした彼にしか作り得ないサウンドのクオリティの高さはさすが。

        ここに来てオリジナリティを生み出す無尽蔵のクリエイティビティに脱帽です。

         

        Best Track:「Paasionfruit」「Get It Together feat. Black Coffee & Jorja Smith」「Fake Love」

         

        11. Jay Som 「Everybody Works」

         

        カリフォルニアはオークランド出身のSSW、Jay Somのデビュー作。

        MitskiやJapanese Breakfastなど、アジア系のロック女子による傑作が近年相次いでるけど今年はこれ。

        斬新なメロディーでも革新の音でもないんだけど、ローファイ・ドリーミー・ソウルフルなサウンドの見事なバランス加減がとにかく心地良い一枚。

        新しくはないけど瑞々しくて、悲しいほどお天気なベッドルーム生まれのオルタナロック。

        春の穏やかな日差しみたいに明る過ぎず、どこか切なさや憂いを帯びてるところが好きですね。

         

        Best Track:「The Bus Song」「Baybee」「For Light」

         

        10. FKJ 「French Kiwi Juice」

         

        フランス出身のマルチミュージシャン、FKJのデビュー作。

        エレクトロ、R&B、ジャズ、ファンクが友人以上親友未満ぐらいの絶妙な距離感で存在してて、とろけるようにグルーヴィーなサウンドはもうこれ以上ないってくらい洗練されてる。

        ギターもベースもドラムもピアノもサックスもターンテーブルも、全ての楽器を一流の腕前でサラッとこなしてしまう圧倒的な才能。

        加えて、聴く人みんなの身体を揺らしてしまう抜群のミュージックセンスまで持ち合わせてるって、天は彼に何物を与えれば気が済むんだろう?なんて思ったり。

         

        Best Track:「Skyline」「Go Back Home」「Lying Together」

         

        9. Dirty Projectors 「Dirty Projectors」

         

        NYブルックリンベースのバンド、Dirty ProjectorsがDavidのソロプロジェクトとなって初めての新作。

        去年のベスト作の一つであるSolangeの作品に大きく関わっていたこともあってか、最近のオルタナR&Bの緩急のある流れを的確に捉えて、それを彼の独特のセンスを生かした唯一無二のサウンドに昇華させてるのがとにかく見事。

        音の構造とかリズムの組み立て方方の凄まじさはもう異常とも言えるレベル。

        聴く度に新たな発見があるので未だに全然聴き飽きない驚異の一枚。

        これまでのサウンドが好きな人は困惑するかもしれないけど、自分はこの変化は断固として支持します。

         

        Best Track:「Up in Hudson」「Little Bubble」「Cool Your Heart」

         

        8. Tennis 「Your Conditionally」

         

        コロラド出身の男女デュオ、Tennisの通算4作目となる新作。

        自分が朝起きるとまずする事は、窓を開けることでも顔を洗うことでもなく音楽を流すことなんだけど、今年その回数が一番多かったのがこのアルバム。

        キュートな声も90sインディーポップなゆるさも、ほのかに香る70sソウルも全部が調度良いジャストな感覚。

        The Cardigans風の北欧ポップスな味わいもあったりして、ポップミュージックとして完璧と言い切れる作品になってます。

        彼らは実際に夫婦でもあるんだけど、お互いの良いところを知り尽くしてるからこそのこのクオリティなのかなとも思いますね。

         

        Best Track:「In the Morning I'll Be Better」「My Emotions Are Blinding」「Ladies Don't Play Guitar」

         

        7. Vince Staples 「Big Fish Theory」

         

        カリフォルニアはロングビーチ出身のラッパー、Vince Staplesの2作目となる新作。

        前作同様スリリングなヒップホップトラックが並んでると思いきや、いきなりデトロイトテクノ調で楽曲で始まりブッ飛ばされる!

        その後もSophieやFlumeといった鋭利な感覚の持ち主たちによるアグレッシブなトラック群が展開されるなど、もう何もかもが新感覚のサウンドでお手上げ状態。

        そんなカオスな空気感をクールに乗りこなすVinceのラップのカッコ良さったら!

        とりあえず何か凄いものを聴いてるなという感覚だけが残って一瞬で聴き終わってしまいました。

         

        Best Track:「Crabs In A Bucket」「Love Can Be...」「Yeah Right」

         

        6. SZA 「Ctrl」

         

        セントルイス出身のR&Bシンガー、SZAのデビュー作。

        Kendrick Lamarを擁するTop Dawg Entertainmentの唯一のシンガーとして、これまでに数々の客演やミックステープ、EPのリリースをしてきた彼女。

        ついにお目見えしたデビューアルバムは、ダウンテンポでアンビエントな質感のR&Bに、10年代特有の音色で風味付けされたメロウなモダンソウルサウンドになっていて、一曲一曲どれもがハイレベルな仕上がりに。

        あまりに長いこと待たされたけど、ここまでのものを出されたらもう許すしかないよね。

         

        Best Track:「Love Galore feat. Travis Scott」「Doves in the Wind feat. Kendrick Lamar」「The Weekend」

         

        5. The xx 「I See You」

         

        ロンドンベースの3人組バンド、The xxの通算3作目となる新作。

        これまでになく自由で開放的で吹っ切れたような印象の今回のアルバム。

        彼らのダウナーなカラーは残しつつ、許される範囲ギリギリの絶妙なラインでポップフィールドに足を踏み入れている感じ。

        3人が色んな場所を旅し、色んな音楽を聴いて吸収して楽しみながら制作したのがとてもよく分かるサウンドに。

        もちろん一昨年のJamie xxのソロ作があったから生まれたアルバムなんだけど、The xxをThe xxたらしめているのは紛れもなくこの2人の声の存在なんだなと改めて感じる素晴らしい作品でした。

         

        Best Track:「Say Something Loving」「Replica」「On Hold」

         

        4. Slowdive 「Slowdive」

         

        イングランドはレディングで結成されたバンド、Slowdiveのなんと22年振り4作目となる新作。

        正直彼らのこれまでの作品はほとんど聴いたことがなかったんだけど、単に2017年リリースの現行シーンの新作としてとても自然に受け入れた感じですね。

        音の歪みさえも美しく響かせるサウンドプロダクションの豪華さと巧さには脱帽!

        この世のものとは思えないほど神秘的で美しいと思うと同時に、どこか懐かしく優しく温かい質感なのが不思議。

        一度解散したバンドの長いブランク明けの作品とは到底思えない、普遍的で鮮度のある作品。

         

        Best Track:「Slomo」「Go Get It」「Falling Ashes」

         

        3. Sampha 「Process」

         

        サウスロンドンベースのSSW、Samphaのデビュー作。

        今作のリリースの至るまで彼の携わった全ての仕事をチェックしてきたけど、彼が徐々にステップアップしてきてこの傑作までたどり着いたと思うと感動的ですらあるくらい素晴らしいアルバムでした。

        シンプルとカオスが混在したモダンR&Bの最高峰とも言える仕上がり。

        一瞬で心を掴まれる神秘的な声の持ち主としてだけではなく、サウンドメイカーとしての才能の凄さも尋常ではないことを完全に証明しちゃってる。

        彼を追い続けてきた自分の耳に狂いはなかったと胸を張って言えます。

         

        Best Track:「Plastic 100℃」「Blood On Me」「(No One Knows Me) Like the Piano」

         

        2. Kendrick Lamar 「DAMN.」

         

        コンプトン出身のラッパー、Kendrick Lamarの通算4作目となる新作。

        前作で極限まで上がったハードルの上に立ち高みの見物を決め込んだような印象の今作。

        自分を攻撃してくる相手を返り討ちにするキレ味抜群のラップの迫力はやはり圧巻!

        お馴染みの制作陣に加えて、James BlakeやKAYTRANADA、Steve Lacyなどの若手を起用していて、それぞれのカラーが上手いこと出されたトラック群のクオリティの高さもとてつもないレベル。

        間違いなく進化、いや深化、いやいや神化してますよね彼は。

        前3作品とはまた全く違うベクトルで自分の圧倒的な才能を見せれるあたりが、この人が王者として君臨している理由なんだと思いますね。

         

        Best Track:「DNA.」「LOYALTY. feat. Rihanna」「HUMBLE.」

         

        1. Thundercat 「Drunk」

         

        カリフォルニア出身のベーシストでありシンガー、Thundercatの通算3作目となる新作。

        再生した瞬間から既にヴィンテージなオーラを放つような印象の今回のアルバム。

        ジャズ、R&B、ファンク、AORまで混在したハイブリットなサウンドは、クラシカルだけどモダンという未体験な響き。

        自分は一体いつの時代の何のジャンルの音楽を聴いてるのかわからなくなるような、まさにDrunkな感覚。

        気付いたらまた流してるというか、もう無意識のレベルでこのアルバムを欲するところまで溺れてしまいましたね。

        あとはやっぱり先日の来日公演を観たということも大きくて、あまりにも衝撃的なライブだったんですよね。

        間違いなく彼は変態です。(誉め言葉)

         

        Best Track:「Show You the Way feat. Michael McDonald & Kenny Loggins」「Friend Zone」「Them Changes」

         

         

        というわけで長いこと読んで頂きましたがいかがだったでしょうか?

        去年に引き続き異常なほどの傑作ラッシュについていくのに必死です。

        これでも結構厳選したつもりなんですけどね。

        まだまだ紹介したい作品はたくさんあるんですが、今回はこんな感じで。

        今度ベストEPについても書いてみようかなと思います。

        聴くきっかけや参考になっていれば嬉しい限りです。

        最後までお付き合い頂きありがとうございました。

         

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